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2008年、横浜の某所。
独創的で印象に残るゲーム音楽を数多く手がけてこられた、
株式会社バンダイナムコゲームスの椎名豪さんにお話しを伺うことができました。
その音楽同様、個性的なお人柄が垣間見られ…どころか、がっつり見られる取材となりました。
では、椎名さんの自己紹介からどうぞ!
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| ― インタビュアー:木村&江崎(CocoeBiz., L.L.C.) |
| 椎名 | じゃあ、乾杯からいきましょうか。せっかくですから。 |
| 一同 | お疲れさまです(と乾杯) |
| 椎名 | (すだちのジュースを飲んで)…わ、リアルな味がする。 |
| 江崎 | え、何?(笑) |
| 椎名 | すだちのリアルな味がする。スダチー! って感じが… |
| 江崎 | あはは、なんか、いちいち面白いんです、言動が!(笑) |
| 椎名 | え、そうっすか? |
| 江崎 | 楽しいなあ。会社でもこんな感じですか? |
| 椎名 | 会社では…あんまり変わらないですね。 |
| 江崎 | あ、じゃあこの通りなんですね、「しょうがないな〜」って。 |
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| ※『テイルズ オブ レジェンディア』より、酒場でピアノを弾くシーナさん (C)NBGI |
| 木村 | これって、椎名さんですよね? |
| 椎名 | そうです。でもこの台詞は知らない間に入ってて…びっくりしましたね。確かに言ってるかも…。懐かしいなあ。この頃は髪、赤かったんですよね。 |
| 木村 | あ、じゃあ、ほんとに椎名さんご本人がモデルで。グラフィックから口調から。 |
(C)NBGI |
| 椎名 | そうですね。…これ、モーションがヤバいんですよね。…見た? |
| 木村 | (大げさにのけぞったり揺れたり)こんなのですよね。 |
| 椎名 | そう! …もうね、恥ずかしくて恥ずかしくて!(笑) |
| 江崎 | なんでゆらゆらと? |
| 椎名 | …ナルシストってやつ? |
| 一同 | (笑) |
| 木村 | そういえば気になっていたのですが、椎名さんの下のお名前、“ごう”さんと“まさる”さんと、二通りの読み方をお見かけしますね。 |
| 椎名 | 基本“ごう”ですね、“まさる”だと外国の方が読みにくいので。 |
| 木村 | 本名は“まさる”だけど、活動上は“ごう”で。 |
| 椎名 | はい。基本“ごう”で通してますね。 |
| 木村 | “豪”で“まさる”って、なかなか読めないですよね。 |
| 椎名 | 読めないですね。多分、日本で他に居ないと思います。当て字なので。 |
| 江崎 | ずっとナムコ(現・株式会社バンダイナムコゲームス)さんで作曲をやってらっしゃるんですよね。 |
| 椎名 | はい、初めから。作り方を教えてもらったのもナムコっていう感じです。 |
| 木村 | ではそのあたり、ナムコさんとの出会いの話からお聞きしたいです。 |
| 椎名 | えっと、僕は“キャラ採用”って言われてたんですよ。 |
| 木村 | 人柄で選ばれたってことですか。 |
| 椎名 | そう、実力採用じゃないんです(笑) |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | サウンドで同期のあと二人は実力採用で、僕はキャラ採用。 |
| 木村 | そう、はっきり言われたんですか? |
| 椎名 | うん、後で「君はキャラ採用だから」って。でも、「キャラ採用は失敗だから今年でやめる」って言われて(笑) |
| 一同 | (爆笑) |
| 椎名 | でも、ナムコは就職活動のとき、何というか…すごく人間的に扱ってくれて。 |
| 木村 | 椎名さん、就職活動ではものすごく苦労されたと聞きましたけど。 |
| 椎名 | 僕ね…46社落ちてるんですよ。 |
| 江崎 | え、46社? それはすべて音楽関係ですか? |
| 椎名 | 違うんです。宝石とか金融とか、ファストフードとかコンビニとか。その時は、適性検査っていうのもなかったから、何をやったらいいだろう…って、学校の就職課の人と相談して、とりあえず、大きいところを受けると反応が分かるから、っていうので。 |
| 木村 | いろんな業界の大手を受けてみて。 |
| 椎名 | そう。自分の知ってるところがいいって。そうしたら、ものを作る過程とか、ものを売る過程がまがりなりにも分かるから、そこで自分の適性が分かるんじゃないかって。 |
| 江崎 | あの頃は就職氷河期でしたよね。 |
| 椎名 | うん、一日三社とか回ってて、三社目とかよく遅刻になっちゃうんですよね、前の会社の説明会の時間が延びたりして。あの、靴に穴が開くっていうのは本当なんだって、初めて知って。 |
| 江崎 | 本当にもう、そのぐらいの。 |
| 椎名 | 本当に、革靴に穴が開いて。でも、いちばん嫌だったのは、6月に予約してた卒業旅行をキャンセルしたことですね。すごいお金がふっとんだし、旅行に行く同級生にも、お土産が嫌味になるかな、とか気を遣わせてしまって。それで、卒業の日に、そのお土産をくれたんですよ。 |
| 江崎 | いい仲間じゃないですか。 |
| 椎名 | そうですね…でもまさか、こんなに落ちると思わなかったですよ。もうね、泣きが入りますね! |
| 江崎 | で、そんな時にナムコさんを受けたんですか? |
| 椎名 | もうダメだ! って思った9月、10月の時期に募集してたのがゲーム会社しかなかったんですよ…(笑) |
| 江崎 | そっか、そういう…(笑) でも、結果的にはすごくいいところに。 |
| 木村 | いまの椎名さんからは想像できないですよね。音楽一筋でこられたのかと思っていました。 |
| 椎名 | ホントに? や、でも、髪を黒く染めて、慣れないスーツを着て、首にネクタイ締めて酸欠になりながら…就活してたんですよ(笑) 面白かったですけどね。いま思えば、ですけど。 |
| 江崎 | そのときはもう、大変ですよね。 |
| 椎名 | その頃は必死、っていうか…。自分の何が悪いのか分からないし、ナムコの時も落ちたと思ったんですよ。一次面接はサウンドの人たちで、割と楽しい面接だったから、いけるかなと思ったんですが、役員面接で「新聞読んでないね」って突っ込まれて。 |
| 江崎 | ええ!あ、それよく「面接官マニュアル」とかの切り返しであるって聞いたことあります。 |
| 椎名 | もうダメだと思って…蒲田の駅で泣いたんですよ。その日は雨で、SUBWAYってサンドイッチ屋でクッキーを買って、泣きながら蒲田駅で食べてたら、おばあさんがハンカチをくれたのをすごくよく覚えてます。まさか受かってるとは思ってなかったですね。 |
| 江崎 | 苦労あっての名曲誕生、というか…。 |
| 椎名 | でも、まわりの話を聞くと、意外と苦労してないって言うんですけどね。ゲーム業界を一直線で目指して、入ったっていう人が多くて。 |
| 江崎 | 椎名さんは、『パックマン』とか遊んでた世代ですよね? |
| 椎名 | それが正直、ほとんどやってなかったんですよね。友達の家に行って遊んでたぐらいで。 |
| 江崎 | あ、じゃあゲーム少年だったわけではなく。 |
| 椎名 | 全然でしたね。だから、ナムコの面接を受けたときに、人事課の若い方が、ナムコのゲームで何がいちばん好きか聞かれたら、とりあえずこれを言いなさいって、教えてくれたんですよね。そしたら、ほんとにその質問があって。「『ソウルエッジ』です」とか答えて(笑) |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | どこが好きですか、とか聞かれたら終わりでしたけど(笑) |
| 木村 | 遊んではいらっしゃったんですか? |
| 椎名 | ほぼ、やっていないですね(笑) 人がやってるのを横で見てたぐらいで。ゲームセンターでも、メダルゲームとかもぐら叩きとかをやってて。あとプリクラとか。 |
| 江崎 | プリクラはゲームじゃない(笑) |
| 椎名 | (笑) だから、ゲームってすごく面白いなって思ったのは、会社に入ってからです。 |
| 江崎 | あら!そうなんですか! |
| 椎名 | もう、寝られないぐらい面白くて! こんな面白いものなんだ、って。 |
| 木村 | 特に好きなゲームは、ありますか? |
| 椎名 | 自社のゲームだと、自分が担当させてもらってるゲームが好きなんですが、思い入れがある分、客観的には見られないので…。 |
| 木村 | 『ミスタードリラー』、すごく面白いですよ。 |
| 椎名 | いやいや…(笑) 基本、下手でも楽しめるゲームが好きですね。僕が下手なので。ロールプレイングゲームが好きなんですけど、あんまり技術力を使わないからですね。あ、そうだ、『ガンダム無双』、あれにすごいはまってます。バッサバッサと斬っていくのが。 |
| 江崎 | すっきりしたー! って? |
| 椎名 | ああいう単純さ、大事ですね。でも、ほかの作曲家さん、みんな好きなゲームとか、答えます? |
| 江崎 | どっちか、ですね。今の私が聞いてきた段階では。自分がもともとヘビーゲーマーだったか、もしくは完全に音楽のほうだったか。 |
| 椎名 | じゃあ僕、完全に音楽でもなければゲーマーでもないし…結構異色かもしれないですね(笑) |
| 江崎 | ニュータイプ?(笑) |
| 椎名 | ニュータイプ(笑) ガンダムで言うならカッコいいかもね! |
| 江崎 | じゃあ、もともとゲーマーではなかったけれども。 |
| 椎名 | いま、ゲーマーですね。でも、もっとちゃんとしたゲーマーの方はやっぱり上手いですよね。対戦とかやると泣きそうになりますよ(笑) |
| 木村 | ああ、分かります…(笑) |
| 椎名 | あとは最近、昔のゲームをやるようにしてますね。会社とかで、いろんな人と、言語が通じるように。「あのゲーム面白かったよね」とか言われても、「パードゥン?」にならないようにしようと。 |
| 江崎 | レトロゲームといったら、もう、ナムコさんは…。 |
| 椎名 | 『ゼビウス』とかですね。 |
| 江崎 | 『マッピー』とか。 |
| 椎名 | 『マッピー』って難しいですよね、久しぶりにやってみたら。 |
| 江崎 | 私、あの音楽ものすごく好きでね。 |
| 椎名 | すごくいい曲ですよね、あれ! |
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ご存知、リズムに乗って太鼓をバチで叩く音楽ゲーム。
そのわかりやすさと爽快感から、アーケードで幅広いプレイヤー層に人気を博し、
家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機にも数多く移植されています。
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| ※ニンテンドーDS版『めっちゃ!太鼓の達人DS 7つの島の大冒険』より (C)2000-2008 NBGI |
| 木村 | 椎名さんは、『太鼓の達人』の曲も書かれていますよね。 |
| 椎名 | 家庭用の1のオープニングが僕ですね。高橋洋子さんに歌っていただきました。 |
| [試聴♪] 虹色・夢色・太鼓色/『太鼓の達人』シリーズより |
| 江崎 | これって、この曲自体が叩けるようになってましたっけ。 |
| 椎名 | なってます。あと、これも…すごい難しい曲なんですけど。 |
| [試聴♪] 風雲!バチお先生/『太鼓の達人』シリーズより |
| 椎名 | オーストラリアのコンサートに招かれて行った時(2007年、オーストラリアのエミネンス交響楽団が椎名さんの楽曲を演奏)、コンサートの帰りに、『太鼓の達人』の古い筐体を見つけて、この曲をやりましたね。 |
| 木村 | ほかには、椎名さんがクラシックの曲をアレンジしたものもありますけど…この結婚行進曲、面白いですよね。 |
| [試聴♪] 結婚行進曲/『太鼓の達人』シリーズより (作曲:メンデルスゾーン) |
| 椎名 | これ僕、歌ってます。 |
| 江崎 | え、それはびっくり! |
| 木村 | どのパートを歌われてるんですか? |
| 椎名 | テナー、男声の高いほうですね。(曲を聴きながら)…これ、面白いんです! 全員、社員で歌ったんですよ。もう、パーチクリンな曲っす(笑) |
| 江崎 | パーチクリンって(笑) |
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落ち物とは一味違う、思考性とアクション性を兼ね備えたパズルゲーム。
ポップなグラフィックデザインとともに、このゲームに華を添えたのが、椎名さんの手がけた音楽。
その独創的で印象に残るサウンドが話題になりました。
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※左からニンテンドーDS版『ミスタードリラー ドリルスピリッツ』、 ニンテンドーゲームキューブ版『ミスタードリラー ドリルランド』より (C)NBGI |
| 椎名 | 一番はじめの『ドリラー』では、曲をいくつかテストした時に、パズルゲームに合わないんじゃないかって言われてて。その時、プロデューサーがOKしてくれなかったら…ほぼ、全ボツになってましたね。 |
| 江崎 | パズルゲームの音楽っていうと、ピコピコって感じのイメージですけどね。 |
| 木村 | 『僕の→地球 僕らの地球』なんて、プレイ中の曲なのに歌ってますよね(笑) |
| [試聴♪] 僕の→地球 僕らの地球/『ミスタードリラー ドリルランド』より |
| 椎名 | これがゲーム中の、掘ってるときの音楽ですからね。 |
| 江崎 | 凝ってますよね。パズルゲームぽくないっていうか、今までのパズルのイメージとは違って。 |
| 椎名 | ありがとうございます。パズルって、可愛いイメージですよね。ファンシーっていうか。 |
| 木村 | 椎名さんは、最初の『ミスタードリラー』の時期のインタビューで、「(サウンドは)絵を引き立たせるには、それとは逆のものを合わせるのがいい」とおっしゃっていて。 |
| 椎名 | いいこと言ってるじゃん(笑) |
| 江崎 | ポリシーがありますね! |
| 椎名 | 昔、『首都消失』っていう、名取裕子さんが主演の映画がありまして。東京がすごい雲に囲まれて、ライフラインが閉ざされちゃう話なんです。それを壊す電磁波を飛行機でバーっと当てるシーンがあって、普通だったら攻撃的な曲をかけるだろうって思ったんですが、ものすごいバラードがかかった時に、心を持っていかれた気持ちになって。 |
| 江崎 | …空虚感みたいな。 |
| 椎名 | いきなりパッとバラードに変わった瞬間の、ファッと持っていかれる感じがすごく印象に残っていて。僕はそれを、小学校の時に見ていたんですけど。 |
| 江崎 | すごい、小学生でそこまで考えてるんですね。 |
| 椎名 | いや、でもあの感覚って忘れられないんですよ。それで、そういう効果を使いたいんですね。 |
| 江崎 | 『ミスタードリラー』のサウンドトラック、海外でもすごく人気があって、「あの曲はいい」とか、コメントをいくつか頂いたことがあります。 |
| 椎名 | それは嬉しいです。外国の方ってどう感じるのかなって疑問で、意見を聞いてみたいなあと思ってて。 |
| 江崎 | いっぱい聞いておきますよ。 |
| 椎名 | ありがとうございます。 |
| 江崎 | 会社の中でコンポーザーをやっていると、直接声が届かないって聞きますけど。 |
| 椎名 | 届かないですね。 |
| 江崎 | ファンレターとか来ないんですか? |
| 椎名 | 来ないです(笑) 正直、日本の声も届かないです。だから自分で探すしかないんですけど、あんまり得意じゃないんで。 |
| 木村 | せっかく見つけても、酷評だったりするとへこむし。 |
| 椎名 | そうですね、たぶん。一日ブルーになりますね(笑) |
| 木村 | でも、僕の見た限りでは、いい評価を書いてらっしゃる方が多いと思いますよ。 |
| 椎名 | 客観視って大事ですね。みんなかどうか分からないですけど、作曲してる人にとっては、曲にそのとき起きた事件とか身の回りの出来事が重なっているので、正直、曲の良し悪しを単純に判断できないんですよ。この曲を作ってたときにはフラれたなあ、とか、いろいろあるんですよね。 |
| 木村 | なるほど。 |
| 椎名 | あと、いちばん気になるのは、外国語の歌を作ったときに、外国の方が拒絶反応を起こされないかっていうのが…。とりあえずは日本人をターゲットとして作るので。 |
| 木村 | 歌っているのはネイティブの方ですよね。 |
| 椎名 | ですけど…ですけど、っていうのがあって。 |
| 江崎 | 問題になるのは、リエゾンなんですよ。「アイ アム」を発音するときに、向こうの人は「アイム」になって、「ア」が聞こえなくなったりしますけど、日本の曲に合わせると、ドイツ語みたいなはっきりした発音になって、「ちょっと不自然だけど発音してるのは外国人だよね」ってレベルになっちゃうんです。 |
| 椎名 | あぁ! |
| 江崎 | 日本語の言葉の流れ、英語の流れ、フランス語の流れ…っていうのがあって、流れにメロディーがうまく合致してるかだと思います。 |
| 椎名 | 基本、合致してないと思うんですよね…(笑) |
| 木村 | それは、実際に英語で歌ってる曲を聴いてもらえたらいいですよね。曲を載せてみて、反応をいただいて。 |
| 椎名 | そうですね、反応をみたいです。 |
| 木村 | 『ミスタードリラー』だと、『DAYS』とか。 |
| 椎名 | 『ドリルランド』の曲ですね。 |
| [試聴♪] DAYS/『ミスタードリラー ドリルランド』より |
| 椎名 | これ、譜割りでめちゃもめて! 言葉の置き方…ひとつの単語を音符に分けるときの分け方が、不自然だって言われて。 |
| 木村 | それは…難しそうですね。 |
| 江崎 | でも、自然に聞こえるように思いますよ。 |
| 椎名 | 本当ですか。そうそう、レコーディングのとき、女性の歌手の方が調子悪そうで、「大丈夫ですか、何か要りますか?」って聞いたら、「KFCプリーズ?」って言われて(笑) スタッフにケンタッキーフライドチキンを買いに行かせました。食べたら全然元気になって、もう、「かわいいっ♪ 」て思いましたね(笑) |
| 江崎 | 素直でいいですよね(笑) そういうのって、外国人の方と一緒に仕事する楽しさかもしれないですね。日本人ではなかなか、「KFCが食べたい」まではっきり言わないですよね。 |
| 椎名 | 水が欲しいとかはありますけど、ケンタッキー!? っていうのが、すごく印象に残ってますね。 |
| 江崎 | 歌手の方は何人いらっしゃったんですか? |
| 椎名 | 全部で4人ですね。 |
| 江崎 | たった4人? |
| 椎名 | 男性2人、女性2人で。あとは機械で増やしました。あと、うすーく日本人入れてます、人数感がほしくて。ちなみに僕も入ってます。こういう時は、人海戦術で。 |
| 木村 | この曲って、椎名さんが作詞もされていますよね? |
| 椎名 | はい、でも英語は違います! |
| 木村 | 椎名さんが書かれたものを、別の方が英語に訳されたのですか。椎名さんが英語でも書かれてるのかと思いました。 |
| 江崎 | お得意なんだと思ってましたよ。 |
| 椎名 | 全然ダメでっす! 仕事で海外に行った時も全然通じなくて困りましたね。夜中に一人で遊びに行った時とか、いっぱい人が寄ってきて、5ドルプリーズ、とかって。 |
| 江崎 | 危ない(笑) |
| 椎名 | マスタングの新作の赤いオープンカーが借りられるっていうんで、カッコいいかも! って借りて走ってたんですが、夜は超危なくって!(笑) |
| 江崎 | それはどこの国ですか、アメリカ? |
| 椎名 | ロサンゼルスです。でもあそこは、住むには最高ですね。食べ物もおいしいし。 |
| [試聴♪] マサラレース/『ミスタードリラー』シリーズより |
| 椎名 | このバイオリンは、生ではなくて偽物なんです。『バーチャルアコースティック』っていう、当時の最新の音源を使ってたんですよね。ちょっとマニアックな話ですけど…僕、音源フェチなので。 |
| [試聴♪] すすめ!ドリラー/『ミスタードリラー』シリーズより |
| 椎名 | 堀江(美都子)さんの歌には、感動しましたね。これはもう、リハ入れて、録音入れて、ほぼ一発OKでした。 |
| 木村 | アニメソングなどの大御所、というか…凄い方ですよね。 |
| 椎名 | ええ。…この「Dig a chance!」ってコーラスも僕です。でも、これは出たくて出たわけじゃなくて、仮で録ってたのが「これでいい」って言われたんです(笑) |
| [試聴♪] epunam/『ミスタードリラー』シリーズより |
| 木村 | 『epunam』の歌詞は椎名さんの造語なんですよね。 |
| 椎名 | そうですね。造語って、作るのは結構楽しいです。曲に異国感が出ますね。 |
| 木村 | この歌詞は、レコーディングの直前になっても出来ていなくて、横浜の駅前のファミレスで書き上げたとか(笑) |
| 椎名 | そう、不二家で、ものすごく必死になりながら書いてました。 |
| 木村 | 不二家のメニューを見て、歌詞を作ったそうですね。 |
| 椎名 | メニューを逆さまから読んで組み合わせていったんです。 |
| 江崎 | え、それは異色! |
| 椎名 | だから、ストロベリークリームパフェだったら、エフプ…なんとかかんとかって。 |
| 木村 | でも、歌詞を見ても、何のメニューがどうなってるのか、分からなかったです。 |
| 椎名 | いや、それはさすがに! |
| 木村 | 分からないように、かきまぜて? |
| 椎名 | そう、あと、歌ったときに噛み合うように。 |
| 木村 | 歌いやすいように、ってことですか。 |
| 椎名 | うん。でも、この曲は最初、エスペラント語を使おうと思ってたんですが。 |
| 木村 | 現実にある言葉だと、ここが間違ってる、とかいろいろ突っ込まれそうですよね。 |
| 椎名 | そうですね。あと、海外に出す時にチェックが大変なんです。 |
| 木村 | ゲームの挿入歌などで、よくラテン語とかエスペラント語が使われてますけど、専門家のチェックが入ってますよね。 |
| 椎名 | まあ、僕のはでたらめです。ラテン語ではなく…あえて言うなら不二家語かもしれないです(笑) |
| [試聴♪] プチ/『ミスタードリラー』シリーズより |
| 木村 | この曲、楽しいですよね。 |
| 椎名 | これ、歌ってるの、僕の甥っ子です。 |
| 木村 | (ゲーム中でプチの声をあてている)堀江(美都子)さんではなくて。 |
| 椎名 | はい。10歳ぐらいかな、中学生の声変わり前ですね。 |
| 江崎 | 貴重な録音ですね(笑) そういったところも、自分たちで手配しないといけないんですか? |
| 椎名 | そうですね。 |
| 江崎 | なるほど。でも、それはそれで楽しいでしょうね。 |
| 椎名 | あ、あと、これはまだ言ったことないかな…『ドリルランド』に、お経が入ってる曲があるんですが。 |
| [試聴♪] 南へ向かって/『ミスタードリラー ドリルランド』より |
| 椎名 | このお経、本物のお坊さんにやってもらってます。北鎌倉にある、北条時宗が建てたお寺の方にお願いして。 |
| 江崎 | こだわりがあったんですか? |
| 椎名 | やっぱり、本物じゃなきゃ、って。お経って歌なので、真似して出来るものじゃないんですね。 |
| [試聴♪] バランス/『ミスタードリラー』シリーズより |
| 木村 | これ、エレキバイオリンですか? |
| 椎名 | そうです。これ…難しいですよ。この曲を弾いていただいたNAOTOさんはアーティストとしてデビューされましたね。これ録音するの大変だったんですよ、難しくて。「今まで弾いた中でいちばん難しい曲だ」って言われましたからね(笑) |
| 木村 | この曲、大好きです。 |
| 椎名 | ありがとうございます。基本、僕、書き譜なので…アドリブも全部音符指定なので、この曲は地獄ですね。 |
| 木村 | バイオリンといえば、ロックバンドの曲のストリングスアレンジなどもされていますよね。椎名さんというとストリングスっていうイメージがあります。 |
| 椎名 | ただ僕のストリングスは、演奏者の方々が顔を青ざめて(笑) 僕が入ると、みんなの空気が変わるので。 |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | 座席に着かないんですよ。基本、初見(その場で初めて楽譜を見て演奏すること)なんですが、遠くから見ても、楽譜の濃さが分かるんですよ。玉が多いと、黒い! って(笑) |
| 江崎 | 密度が濃くて。 |
| 椎名 | みんな拒絶反応があるみたいで、入った瞬間に、うっ…と。 |
| 江崎 | 見なかったことにしようと…。(笑) |
| 椎名 | そうそう(笑) 現場はものすごい緊張感がありますよ。3回で録れなかったら無理だ、っていう風にみんなが思ってやらないと、揃わないぐらい。 |
| 木村 | それ以上やると、集中が切れて揃わなくなっちゃう。 |
| 椎名 | なっちゃう。 |
| 木村 | 椎名さんの作られる歌も、歌うのは難しそうですよね。 |
| 椎名 | 歌も強烈だね。高橋(洋子)さんにも言われましたね。「私は基本2テイクでしか録らない」 |
| 江崎 | おおー。 |
| 椎名 | 「…こんなに歌ったのは初めて」って。 |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | 音が高いというより、飛ぶんですね。上がったり下がったりの動きが激しい。難しいと思いますよ。 |
| 木村 | 『隣に…』のメロディーも印象的でした。 |
| [試聴♪] 隣に…/『THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 07 三浦あずさ』より |
| 椎名 | これ、がんばってますよね。歌ってるのは声優さんなんですが。 |
| 木村 | しかも、地の声じゃなくて、キャラクターを演じながら、その声で歌うって、すごく難しそうですね。 |
| 江崎 | そうですよね、声を作って歌うわけですもんね。 |
| 椎名 | ええ。でも、このたかはし(智秋)さんという方は、ものすごく謙虚で、勉強してきてくださって。 |
| 木村 | 勉強というのは? |
| 椎名 | 練習ですね。 |
| 木村 | あ、さきに楽譜を渡してあって。 |
| 椎名 | そう、で、すごく練習してきてくれたのがわかるので。特にこの曲はそうですね。たぶん、普通の人だとだいたい、何回か聴いてくるとか、電車の中で聴いてきてその日に歌うってことが多いと思うんですけど。 |
| 江崎 | プロ意識でしょうかね。 |
| 椎名 | ねえ。でも、しかも、歌が本職ではないので、珍しいなと思って。 |
| 木村 | 堂々と歌われていて…声優の歌、っていうイメージじゃないですよね。 |
| 椎名 | そうですね。 |
| 椎名 | 僕、メールが嫌いなんですよ。文章って怖いというか、文字だけだと、たとえば冗談っぽく言ってるのか、本気なのか分からなかったり、受け取り方が変わっちゃうので。ライターさんって、そういうところがきついなぁって思います。 |
| 江崎 | ああ、ありますね。話してる場では盛り上がってるんだけど、文章になると、ちょっと伝わらなかったり。 |
| 椎名 | でも、最近ちょっと好きになってきて。携帯メールで、各社共通の動く顔文字が入れられるようになってからは、結構使うようになってます。 |
| 江崎 | ウェブサイトとかは見られないんですか? |
| 椎名 | や、純粋に情報源として役立つときがありますよね。ゲーム以外、たとえば料理のレシピとか見て。 |
| 江崎 | 料理されるんですか? |
| 椎名 | たまにするんです。…料理はするんですけど片付けをしないっていう、女性から見るといちばんヤなタイプですね(笑) |
| 江崎 | いえ、作ってくれるっていうだけでも…いいですよね、男の料理って。料理してる間に曲が生まれたりもします? |
| 椎名 | 料理と音楽って結構近い気がしますね。名前も知らないような調味料を入れて「ちょっと外国っぽいかも」とか思ってるときに、香りにインスパイアされて曲を思いついたり。ただ、料理を作りながら考えた曲って、自分の中で過大評価しちゃって。「すげーいい曲!」と思ってたのが、次の日に聴くと、こりゃダメだ、って(笑) なので、冷静な時に浮かんだ曲のほうが良かったりしますね。 |
| 椎名 | 僕、医者を目指してたんですよ。 |
| 江崎 | えぇ?そうなんですか? |
| 椎名 | だから、獨協中学っていう、ドイツ語を習える学校に行ってて。…バカすぎたんですね(笑) |
| 一同 | (笑) |
| 江崎 | でも、なぜ医者になろうと思ったんですか? |
| 椎名 | 昔、NHKだったと思うんですけど、2時間ドラマで、救急救命医の話があって。今のドラマみたいな格好いい描き方じゃなくて、忙しいけど報われないお医者さんみたいな描き方だったんですが、本当はスーパーマンなんだよ…っていう話で、それにすごく感動したんです。 |
| 江崎 | そんな一面があったんですね、 |
| 椎名 | でも、人体を開けたものを見たりするのが…慣れなくて。 |
| 江崎 | それは、どうしてもね、生理的な問題ですね。 |
| 椎名 | 同期に医者が多いんですけど、同期会とかで結構みんな普通に焼肉食べてますね。「今日2件あったんだよ」とか言いながら平気でタンとか食べたり…。僕は、マジでー? とか思いながら(笑) |
| 江崎 | 話を聞いてる方が食べられなくなったり(笑) |
| 椎名 | そうそうそう。「慣れるよ」とか言われて。 |
| 一同 | (笑) |
| 江崎 | でも、音楽と医者ってつながりあると思います。私の知ってるお医者さんにも、半分ミュージシャンみたいな方がいて。 |
| 椎名 | へえ! |
| 江崎 | 何か似てるんですかね、人体と。…関係ないか(笑) |
| 椎名 | いえいえ、ヴァイオリンは女体っていいますよね。…基本、エロ多いですよね、音楽家って。 |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | しかも、ちょっと普通じゃない…や、多趣味な。 |
| 江崎 | でも結局、音楽を作るときって感情から入るんですよね。 |
| 椎名 | そうですね。なんか、会社では言えないけど、アレをした感覚に似てる…(笑) |
| 江崎 | でも、ミュージシャンの方ってそう言いますよね。 |
| 椎名 | ほんと似てますね。すごい感動したときとかも似てたりするんですけど、持って行かれる感覚とか。…冷静に作れる人は、ちゃんと冷静に作れるんですけど(笑) そこらへんはタイプがあるんだろうなあ。 |
| 江崎 | そういったお話を聞いてると、すごく人間っぽく音楽を作ってらっしゃいますよね。機械的にではなくて。 |
| 椎名 | あ、苦手なんですね、機械というのは。好きだけど難しい。コンピュータを並べてバーッと使うのはすごく好きなんですけど、細かく何かをいじる、とかはあまり得意じゃなくて。僕の音楽の実現のためにコンピュータが頑張ってる、っていうのが嬉しいんですね。 |
| 江崎 | コンピュータを使ってるからこそ、たくさん音を書き込む…っていう方は多いですけど、自分の感性で…それこそモーツァルトみたいな音符の埋め方って、なかなかできないと思うんですよね。 |
| 椎名 | 食べ物でもそうなんですけど、僕は目の前に多くあるのが好きなんですね、多く食べるというわけではなくて。だから、いちばんつらいのは、一個残っててみんなが食べないときの、微妙な空気が…。 |
| 江崎 | 手が出せないなー、みたいな(笑) |
| 椎名 | それと、音楽って結構似てる気がします。 |
| 江崎 | 一個の残り物と似てるんですか? |
| 椎名 | 似てるんですよ。何ていうか…。作りたいものを全部やっちゃうのではなくて、隙間として一個残したほうがたぶんいいんですけど、それを考えてるときの微妙な空気が、すごくヤなときがあって。本当はこのまま作り続けたいんだけど…。僕の曲ってけっこうしつこいと思うんです。濃いというか、くどいというか。 |
| 木村 | 一個残してないんですね(笑) |
| 椎名 | (笑) 本当は一個残さなきゃいけないと思います。歌手でも、100%の感情を入れないで、80%で歌うっていいますけど、その20%を抑えるメンタル的なつらさってあると思うんですよね。作曲もそうなんです。 |
| 江崎 | 深いなあ! |
| 椎名 | でも、この食事もそうだし、曲とかもそうです。何か物足りないけど、あと一個入れるとダメになるっていう、微妙なところで悩んでるときの空気というか、自分が嫌だったりする。 |
| 江崎 | 葛藤があるんですね。 |
| 椎名 | そういう時に、救いの神のような、食べちゃうよっていう女の子がいると、すっとするんですけど。音楽を作るときの救いの神は、いったん離れることですね、僕は。別の曲に手をつけるようにして、それから再度考え直す。 |
| 江崎 | さっきの話じゃないですけど、そのときは良くできた! と思ったんだけど…みたいな。 |
| 椎名 | そうですね。作ってるときはみんなナルシストだと思うんですよ(笑) |
| 江崎 | そうじゃないと作れないですよね。 |
| 椎名 | で、戻ったときに、んー、んー…って(笑) |
| 江崎 | いろんなジャンルの曲を作れますよね。オーケストラチックだったり、フュージョンかかってたり、ロックだったり… |
| 椎名 | そういうのって自信過剰に言っていいんでしょうか(笑) |
| 江崎 | どんどんお願いします(笑) |
| 椎名 | ま、基本、何でもやりますね。やる気で動いているので。 |
| 江崎 | 得意分野とかあります? |
| 椎名 | …それって、皆さん、答えが出ます? |
| 江崎 | 自分の好きなジャンルっていうのはあるみたいですけど、こういうのは作ってて気持ちいいね、とか。 |
| 椎名 | 基本、僕、あゆちゃん(浜崎あゆみ)とか好きですね。 |
| 江崎 | あ、そうなんですか!意外だった。 |
| 椎名 | なんか、元気出るので。車とかでガンガンかけてますよ。他の作曲家さんとは違うかな。 |
| 木村 | でも、実は好きだったりする方はいると思いますよ。 |
| 椎名 | ああ、そうですね。言うと恥ずかしいってのも、ちょっとあるんで。 |
| 木村 | ジャンルは違いますけど、元メガデスのマーティ・フリードマンだって浜崎あゆみとか大好きだそうですし。 |
| 椎名 | メガデス、コピーバンドやりましたよ! |
| 江崎 | 『ハンガー18』とか? |
| 椎名 | 曲は僕が選んでなかったので、覚えてないんですが…メガデスは人気ありましたね。でも客が来ないんですよ(笑) |
| 江崎 | マニアックですよね(笑) |
| 椎名 | そう、メガデスはやってて楽しい。だからメガデスはやめよう、ってことになって。 |
| 江崎 | で、メタリカになったみたいな? |
| 椎名 | いや、それ系は全部ナシで、日本のポップスの方がお客が来るから…でも難しいっていう。 |
| 江崎 | え、難しいんですか? |
| 椎名 | そうですね。J−POPは基本、打ち込みで作られてるものを実際に弾かなきゃいけないので。メガデスとかは、割とパターン化されてるから、型を覚えちゃうと楽なんです…ドラムの人は地獄ですけど。 |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | それで、得意・不得意というと…。歌を入れるもので、歌う人の元の声を知ってるとき…一度仕事をした人と、してない人とでは、作る時間が変わりますね。でも、これは分野じゃないか…。 |
| 江崎 | 不得意がないってことですよね。 |
| 椎名 | いやいや、全部不得意だけど、全部得意でもあり、とかそんな感じです。…もちろん、作ってるときは、超得意! って思ってますよ(笑) |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | でも、苦手なのは、パソコンが対応しきれない曲って結構あるんですよね。たとえば声物をいっぱい使う曲とかだと、いろんな編集をするんですけど、CPUに負荷がかかっちゃって、パソコンが悲鳴をあげちゃうことがあって。作ってて、感情的に「またパソコン止まった、もういいよ!」みたいなことで、すごく時間がかかっちゃうかな。 |
| 江崎 | ツールの問題ですね。 |
| 椎名 | そうですね。追いつかないですね、こっちがやりたいと思うことに対して、パソコンの性能が。「これだけあれば充分だ」っていうのは、まだ出てないかな。 |
| 江崎 | 生演奏との違いは、作る上でもかなりありますか。 |
| 椎名 | ありますね。僕がいちばん好きなのは、生の音とシンセサイザーの音が混ざってるものですね。 |
| 江崎 | ああ、分かりますね。それに、普通の作曲と歌物の作曲ってだいぶ違うって聞くんですけど、そのへんはどうですか? |
| 椎名 | 僕は基本、歌って作るので…もちろん早いパッセージとかは歌いませんけど(笑) だから、スタート地点は、歌物もそれ以外も、あまり変わらないですね。 |
| 木村 | 歌じゃないものでも、最初は自分で歌って作るんですか。 |
| 椎名 | そのほうが、作りやすいんですよね。 |
| 江崎 | お休みの日とかは、何をされてるんですか? |
| 椎名 | 僕はあまり家に居たくないので、どんなに一人でも、喫茶店に行ったりするようにしてます。家に居ると、癖がつきそうで怖いんですよね。ずっとテレビ見て、ピザとって、自分だけの至福…っていうのが、分かる気がするんですよ。 |
| 木村 | ああ、なるほど。 |
| 椎名 | 外がいいのは、気持ち的に、会社とも家とも違って、切り替わるんですよね。 |
| 江崎 | やっぱり、アーティストとしては、刺激を受けるっていうのが。 |
| 椎名 | そうですね。恋人たちの話とか聞いちゃいますね。すごく勉強になります。 |
| 江崎 | よく作家の方がそうするっていいますよね。 |
| 椎名 | ほんとに、大事ですね。恋愛観って人それぞれのものがあって、自分はたぶんマニアックだと思うので、普通の感覚を知るためにも、喫茶店とかで、二人でベタベタしてるのを聞いたりしますね。若いなーとか思いながら(笑) |
| 江崎 | 下手なテレビ番組を見るより面白いかもしれないですよね。本当の話ですし。 |
| 椎名 | 喫茶店がいいですね、飲み屋さんだとちょっと空気が違って。お酒が入って、変な勇気がついちゃってるので(笑) |
| 江崎 | わかるわかる(笑) |
| 椎名 | 音楽もそうですけど、恥じらいとかいろんなものを入れることで、日本人らしい美しさが出ると思うんです。喫茶店だと、まわりの目を気にしながら、ちょっと照れながら喋ってますから、そういう微妙なさじ加減を感じるのが結構、楽しいですね。 |
| 江崎 | 音楽家の方って、部屋にこもって作曲したり、オフの日もほかの音楽を聞かなかったり…っていうイメージがあったので、椎名さんみたいに、外に出て生の恋人たちの会話を聞いたり、そういう風な行動をしてるっていうのが、すごく…新鮮ですね。 |
| 椎名 | あ、よかったです。すごくキモいって言われるのかと思いました(笑) |
| 一同 | (爆笑) |
| 江崎 | そうか、そういう手もあったか(笑) |
| 木村 | そこで落とすっていう(笑) それで、そんな風に外で、歌詞を書かれていたり、曲も…? |
| 椎名 | 曲も外で書くことがありますよ。ノートパソコンを持って行って。 |
| 江崎 | なるほど。いまの話で、不二家で歌詞を書いてたっていう話の、鍵が開いた気がします。 |
| 椎名 | そうですか。あと、子供の会話も面白いなと思ってて。家の近くにトイザらスがあって、その近くにスターバックスがあるんです。で、そこに、コーヒー飲まないだろ、っていうような子供も来るんですけど。そうすると、いきなり僕のところに来て「ね、うちのパパかっこいいでしょ」とかって言うんですよ(笑) 子供って、何を考えてるのか分からないっていうのが、また楽しくて。 |
| 江崎 | 会社の中にいると、周りは大人ばかりですからね。 |
| 椎名 | あと、同世代が多くて、ある意味、無言でも通じちゃう部分があるんですけど。別の世代とは、ずれちゃうから、聞いとかないと、っていうのがあって。 |
| 江崎 | 探究心が深くて、いいですね。 |
| 椎名 | 最近、横浜で聞いたんですけど…アメリカ大統領選で、オバマって人がいますよね。(編集者註:取材時は米大統領選の最中でした) |
| 木村 | はい。 |
| 椎名 | …あの、冗談で言っているのか分からないんですけど、「オバマって小浜市出身なの!?」みたいな話をしてる人がいて(笑) |
| 一同 | (笑) |
| 椎名 | で、で、その話をしてる人よりも、その横に居たOLさんたちが笑いをこらえてプルプルしてるのが、ものすごく面白くて! |
| 江崎 | わかるわかる(笑) 空気が変わるんですよね。 |
| 椎名 | まわりみんな黙っちゃって、耳ダンボみたいな状態で(笑) 「でも、どう見ても日本人じゃないよね?」「ハーフ?」「綾戸智恵の息子に似てね?」とか言ってて、それ、それは…(笑) |
| 木村 | 小浜市がオバマ氏を応援してるって話はありますけど、飛びすぎですよね(笑) |
| 椎名 | ちょっとしかニュースを見てなくて、そこから話を膨らましてるんでしょうね。ある意味、人間東スポみたいな(笑) それはそれで面白いなあって。…すみませんね、音楽の話からずいぶんずれちゃって(笑) |
| 木村 | いいえ、面白かったです(笑) |
| 木村 | 『ミスタードリラー サウンドトラックス』って、廃盤になっちゃってるんですよね。 |
| 椎名 | そうなんだよね。やっと今、『ミスタードリラー』のダウンロード販売も始まってるんですけど。
|
| (PLAYSTATION Store内のゲームアーカイブスでPS3/PSP用『ミスタードリラー』が、Xbox Live アーケードでXbox 360用『Mr.DRILLER Online』が、Wiiウェアで『ミスタードリラーワールド』が、ニンテンドーDSiウェアで『サクッとハマれるホリホリアクション ミスタードリラー』が配信中です) |
| 木村 | あと、『ミスタードリラー ドリルランド』の曲もすごく好きなんですよ。 |
| 椎名 | ありがとうございます。あれもCD化したいですよね。 |
| 木村 | してほしいです! |
| 椎名 | 『ドリルランド』の演奏は、かなり素晴らしいメンバーでしたね。 |
| 木村 | 『ドリルランド』は、CDにはなってないですが、ゲーム中に音楽館…サウンドテストがあって、いいですよね。でも、入ってない曲もありますよね? |
| 椎名 | ああ、僕の場合、サウンドトラックもそうなんですけど、入れない曲というのもあって。 |
| 木村 | 『テイルズ オブ レジェンディア』の時は、要望が多くて、サウンドトラックに入ってなかった曲を、あとから別に出したんですよね。 |
| 椎名 | 40曲ぐらい、入れてなかったですね。 |
| 江崎 | それは、こだわりがあって? |
| 椎名 | ディスクとしての完成度っていうのを考えると…。僕の中では、曲として、単体で成り立っているものと、ゲームのシーンを見ながら聴くと良い曲っていうのがあって。 |
| 木村 | それは分けて考えていると。 |
| 椎名 | そうそう、声の帯域にぶつからないように作ったりしてるから、それをそのままCDに入れても、スッカスカな音になっちゃったり。ピアノで言うと、(腕を広げて)こんな風に、上と下で弾いて真ん中が空いてる感じで。 |
| 木村 | 『レジェンディア』で、サウンドトラックに入ってる曲のいくつかが、ゲーム中に流れている曲と違う感じになっているのも、それで? |
| 椎名 | うん、声とぶつかるから抜いた部分を入れなおしたりしてるんですよね。 |
| 江崎 | サウンドトラックにする時に、そういった手を加えて。 |
| 椎名 | そうですね。でもそれって結構、嫌がられることもあるんだけど。 |
| 木村 | 作品を求めるか、百科事典を求めるかっていう感じですかね。どっちかをとるとどっちかが立たない。 |
| 椎名 | 難しいよね! |
さて、ここから『テイルズ オブ レジェンディア』の話題へと続きますが、続きは次回の更新で。 ご意見、ご感想、椎名さんへのご質問等、是非お寄せくださいませ! |
宛先は、composers cocoebiz.comです。 |
また、椎名さんの最新担当作(2009年3月現在)、PSP用ソフト『テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー2』では、バトル音楽を作曲されています。こちらもお楽しみください! |
追記: ご感想やご質問のメール、ありがとうございます! 椎名さんへのメッセージは、順次、ご本人にお届けしております。 |
そして、続きをお待ちいただいている皆様、お待たせして申し訳ありません! 公開予定の『レジェンディア』編ですが、もう一度、改めて椎名さんにお話を伺いつつ、 『レディアント マイソロジー2』などのお話も加えて公開したいと計画中です。 (その他の作品につきましても、また回を改めて取り上げたいと考えております) |
その際、いただいた質問をまとめて直接、椎名さんに投げてみる予定ですので、 椎名さんに関して気になること、何でもお寄せくださいませ! (4月中に送っていただければ、間に合うと思います) |
というわけで、もうしばらくお時間をいただきたいと思います。よろしくお願いします! |
7月8日追記: お待たせしました! 続きを公開しました! |